Porcupine Treeについて
最近になって登録したザ・インタビューズというWebサービスで「Porcupine TreeとSteven Wilsonの魅力を語れ!」と言われたので、せっかくなのでこちらにも転載しておこうと思います。
とても英国的な音楽だと思っています。その理由は主に3つあると思っていて、
- ロンドンの霧深さを想起させるような音作り
- ナイーヴだがなよなよし過ぎない声質
- 漠とした距離感
相互に結びついていて独立した要素ではありませんが、それぞれについて少し考えてみたいと思います。
1. ですが、これはリーダーであるSteven Wilsonのアンビエント趣味と、キーボード担当のRichard Barbieriの音色選びのセンスを色濃く反映していると思います。Steven Wilsonはアンビエント/ノイズ/ドローンばかりを行う別名義であるBass Communionでも多数の作品をリリースしています。Bass Communionの音源が一部PTの曲に引用されているケースもあります。以下はBass Communion “43553E99.01″がサンプリングされ使われている例。
Richard Barbieriは元Japanのメンバーということで有名ですが、そちらでの活動は詳しくは知りません。PTでのキーボードは空間がぐにゃり…歪むような音作りとでも云いましょうか。”Mother and Child Divided”は非常にメタリックなリフで押し切る1曲ですが、強靱なギターと同じくらい冒頭や中間部分でのキーボードの音色が印象的です。
2. について。居そうであまり居ない声の持ち主だなあと思っています。若干鼻に掛かったようでいて音域は広くないし線は細めで「歌唱力!」というタイプでは全くありません。が、バンドの音作りには非常にマッチした声質だと思います。いわゆるUKロック的な、なよなよさが薄いのも個人的に好印象です。また、複数のヴォーカルの重ね方のセンスには素晴らしいものがあると思います。
また、Steven Wilsonはプロデューサーやミキサーとして他のバンドのアルバム制作にも多数関わっているのですが、それらの仕事でもハーモニー作りは活かされていると感じます。
そして 3. です。これだけやたら抽象的なのですが、情緒を直接向けてこない感じというか、一枚隔てた感じというか、少しナナメを向いた感じというか。どこか醒めた印象。ただ、その分時折顔を出す叙情的なメロディが逆説的により真摯なものに聞こえる気がします。”The Start of Something Beautiful”の後半などは特に。
この事は歌詞にも表れていると思います。”The Sound of Muzak”の歌詞に関する素晴らしい考察があるので是非ともお読みください。
怒ってるわけじゃない。ちょっと斜に構えてみせて、拗ねたような、どうでもいいんだけどさ、みたいな調子で歌う。だけど、「この世界のすばらしいもの」と音楽のことをいうとき、ああ、この人は、ほんとうにそんなふうに思ってるんだな、という気持ちが、伝わってくる
まさしく。
生演奏のクオリティも高いですね。いや実物を観たことはないのでDVDや想像での話ですが、きっとそれは確か。「ソングライターでありリーダーのSWより他のメンバーの方が更に確かな演奏技術を持っている」ことに依るのかなと勝手に思っています。SWがヘタだと主張するわけではないですが、他メンバーがとにかく名手だなと。あとこれはギターとかで演奏してみるとわかるんですけど、PTの曲にすごく難しいリフや数えづらい拍はほとんど出てこないんですね。その辺も含めて、全力投球はせず常に1~2割の余力を残してやってる印象があります。それによる安定感・余裕も3.に繋がっているのではと。
それにしても妄想の含有度が高いですねこの文章。完全に余談ですが、僕はPTが「プログレメタル」と呼ばれているのを見ると、んんー?ともにょります。どうでもいいですね。
すごく良いバンドなので、ファンは増えて欲しいですし、また来日公演があることを望みます。 最後に夏の終わりと言うことでこの曲を貼って終わりにします。
おまけ:私家版”Lips of Ashes”

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